感情高架 > vodqa
ツアラツロラが言ってた
ドレープの中が最もたくさんのものを閉じ込められる。どんな大きな生き物だって簡単、形状と構造が重要だ。
(Conseils aux malades / Henri Michaux)

「それでは、言葉には意味などない。読むほうがいかれていれば、書くほうもいかれている。
おそらく霧帯接続《ヘイズィック・ハンドシェイク》のシンパとして実体験をコンパクトに語っておられるのでしょうが、そうなると会話とはいったいなんなんでしょう?
パイセンと私は今日こうして幡ヶ谷のHUBで会って話をしていますが、果たしてほんとうは会えていないとでも仰るのでしょうか?」
「止揚を急ぐんじゃない。言葉は意味をもたない暴力なのだ。網膜で微電流へと変質すれば迅速に脳みその最深部まで滑りこむ。構造が近そうな過去のイメージを触媒として見えない爆発をおこす。それが連綿と繋がったもの、すなわち文章、こうなるとあたまはたいへんだ。花火大会だ。人のあたまの内側はすべからく焦げている。」
「きいてません。質問に答えるかファンタのメロンソーダ買ってくるかしてください。」
「きみの言葉には澄み切った暴力の予感がある。こわいからファンタを買ってこよう」

パイセンが店を出て、私は考えた。
パイセンはもう新たに何かを理解しようとか、何かを誰かに理解してもらおうとか、全く望んでいないように見える。
それはきっとパイセンが自分を取り巻く環境に満足しているから。一生咀嚼していられる知識を抱え、パンも得て、恵まれたおしているからではないか。
私はしんどい。知らないことが多すぎて生存がきちい。一生で他人ひとり知りきるのが既に無理なのに世界には他人が3体以上いるの確定だからマゾゲーの純度たるやHEAVEN超えてクロテッドクリームと化している。
何も知らなくても空気は吸っていいってことは雰囲気でわかるんだけど、こうして知らない文字ならべて載せる行為やっぱり狂ってる

「ファンタ買ってきたよ」
「持つべきものはパイセンだよねって今後輩に教えてたんです」
「やめてよパイセンの利便性拡散するの」
「それより私知ってるんですけど昨日のnote、『私はずっとずきずきする。』くらいで普通に締めときゃいいのに無理やり書き足してダサくしましたよね?そういうの照れっていうんですよ??恥ずかしくないんですか???」
「じゃあ、これは知ってたかな」
パイセンはテーブルの下から銃口で私の右腿を突いた。
「好奇心はきみのような子猫をも殺すんだよ」
ブルージーンの82型、イスラエル製サイレンサーの鈍い感触は最高密度の葡萄色だ。
私は私が死んだって困らない、それでも私は私に死んでほしくない人全員が死ぬまで死ぬわけにはいかない。パイセンの弱点属性であるハイドロカノンでロマン砲を狙う。